フライパンへのコーティングで多く知られるように、水や油を弾く機能を持たせる表面処理が存在します。水を弾く性質を撥水性と言い、水滴の接触角により評価されます。工業部品においても撥水性は、 固体と液体との接触領域を減らし相互作用を低減する為、防滴や防汚などの観点において重視される性能の一つです。
無電解ニッケルめっきによる撥水性の付加は、撥水性の高いテフロンを共析させたPTFEコンポジットめっきによる方法が行なわれています。カニフロンめっきはその一つですが、無電解ニッケルめっきの硬さとPTFEの撥水性を両立させており、摩耗などにより性能の持続性が損なわれるといった撥水性表面処理の課題に対する解決手段となります。
1. 試験方法
めっき皮膜:カニゼン、カニフロンB, A, S
めっき後の熱処理:300℃
測定装置:協和界面科学DM-501
手法:液滴法
液種:純水
液量:1μL
経過時間:10秒
2. 試験結果
表1. 接触角の測定値
めっき種類 | 接触角 /° |
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カニゼン | 56 |
カニフロンB | 103 |
カニフロンA | 115 |
カニフロンS | 117 |
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カニゼン
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カニフロンB
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カニフロンA
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カニフロンS
図2. 各種めっき膜上の液滴写真
※グラフのデータは日本カニゼン群馬工場での実験値であり保証値ではありません