無電解Ni-P/PTFE
複合めっき
無電解ニッケルめっき液中に均一にPTFE微粒子を分散させ、めっき皮膜析出時にPTFE粒子を共析させた複合めっき皮膜です。
カニフロンの特徴
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1自己潤滑性
めっき皮膜中テフロン粒子を含有するためカジリ・焼付き防止に対して大きな効果を発揮します。
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2低摩擦
皮膜表面ばかりでなく、膜厚方向にも潤滑性のあるテフロン粒子を均一に分散しています。
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3耐摩耗性・耐損傷性
カニフロンは樹脂やテフロンコーティングに比較して傷がつき難く、はがれたりしません。
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4耐食性
ピンホールがなく、つきまわりが均一です。
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5密着性
テフロンの微粒子一個一個をマトリックスが固く保持しています。また、そのマトリックスが金属であるため、素地とカニフロンの密着性は強固です。
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6膜厚均一性・高寸法精度
母材の形状にかかわらず穴の中・パイプ・エッヂなどでも、膜厚は均一です。また任意の厚さに、正確にコントロールできます。
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7電導性・静電気防止効果
マトリックスが金属(Ni-P)であるため、静電気やホコリを嫌う半導体部品、精密機器へ使用できます。
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8熱伝導性
テフロンコーティングに比べ、優れています。
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9消音効果
カニフロン同士の摺動や他の金属との接触などにおいて、テフロンによる緩衝効果と潤滑性による消音効果があります。
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10撥水・撥油性
接触角はテフロンコーティングとほぼ同様です。
選択可能なPTFE含有率
- 含有率が高いものから、S・A・Bの3タイプがあります。
- 含有率の選択によって、潤滑性と皮膜硬度のバランスを決定します。
シリーズ | Sタイプ | Aタイプ | Bタイプ |
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皮膜中のPTEE含有率(Vol%) | 30~35 | 20~25 | 3~7 |
摩擦係数μ (HEIDON-14Dにより200g荷重、φ10mm・アルミナボール) |
0.07~0.08 | 0.08~0.10 | 0.10~0.12 |
皮膜硬度:析出時(Hv) | 200~250 | 250~350 | 400~550 |
皮膜硬度:300℃熱処理(Hv) | 300~400 | 400~600 | 750~900 |
SEM |
適用例
自動車関連(摺動性・耐摩耗性・消音効果)
- ピストン
- カムプレート
- コントロールパルプ
- ベーン
- プランジャー
- リングギャ
- センサースライドリフター
- ギヤシャフト
- スチールボール
- ブッシュ
- サポートなど
機械部品(摺動性)
- ピストンプッシュ
- 板バネ
- ヒートブロック
- ガイド軸
- ガイド板
- ガイドローラー
- リードスクリュー
- ベンホルダー
- 空圧弁など
印刷関係(非粘着性・摺動性・耐摩耗性)
- ブレード
- 定着ロール
- ローレットロール
- ターンバーなど
樹脂関係(撥水性・非粘着性)
- 各種金型(シリコンゴム・フッ素ゴム・ポリエチレンなど)
- ダイス
- ホッパー
- スクリュー
- ブレーカープレート
- 押しピン
- ロールなど